『逢う時は他人』 ”Strangers When We Meet”

Director’s Statement
カーク・ダグラスとキム・ノヴァックの主演の1960年コロムビア映画『逢う時はいつも他人 STRANGERS WHEN WE MEET』と同様のタイトルを持つこの映画は、甘いメロドラマではありません。
しかしながら、この二本の映画には、共通点もあります。
夫婦の和解が、物語の終わりでもあると言う点です。
そういう点だけを言えば、この映画は、保守的な映画と言えます。
私は、最近の私の行ってきた試みの延長線上に、この映画を置きます。
その為には、ストーリーを出来るだけシンプルに、そしてコンパクトにする必要がありました。
言葉のコミュニケーションを持たない夫婦を取り上げることによって、夫婦の中でのSTRANGERを描き、夫婦の内面の葛藤が、活写できればと思います。
この映画の制作の機会を与えてくれた、JDP(Jeonju digital project)と、その母体であるJIFF(Jeonju international film festival)に、深く感謝します。
小林政広 2012.12.28

photo

脚本・監督:小林政広
音楽:佐久間順平
撮影:古屋幸一
録音:山口満大
編集:太田義則
監督助手:中尾広道
制作:小林克巳

川村由希子:中村優子
川村良一:小林政広
佐伯:本多菊雄

撮影:2013年1月  大阪
公開:日本未公開

#S90
佐伯「今日、交通刑務所から出て参りました」 I Just got out from traffic prison
良一「…」
佐伯「. …しかも、健司君の三回忌の日に」 …Just in time on 3rd anniversary of Kenji’s death.
良一「…」
佐伯「あんな事故を起こして…しかも、あなたの出張中に…奥さんと、健司君を連れ出して、ドライブに行くなんて」… The accident…while you were at business trip…I don’t know why I took your wife and Kenji to a drive…
良一「…」
佐伯「…」
良一「あなたは、由希子を愛してたのか?」 Did you love Yukiko?
佐伯「?!」
良一「愛してたのか?」 Did you?
佐伯「…」
良一「二度と連絡してくるな」 Don’t ever call me again.
佐伯「…」
良一「俺と由希子の前に、二度と現れるんじゃない」 No, Don’t ever show your face to me or Yukiko.
佐伯「…」
良一「いいな!」 Answer me!
撮影台本より抜粋